※今回の記事はあくまでも私の見解ですので、実際に遺産分割協議書を作成される場合は事前に専門家などにご相談されることをお勧めします。
相続は2回なのに、遺産分割協議書を3回作ったワケ
私は相続の時、遺産分割協議書を合計3回作成しました。
父の時1回、母の時2回です。
なぜ母の時に遺産分割協議書を2回作ることになったかというと。
遺産分割協議書に文言が足りなかったからではないかと考えています。
母の相続の時の相続人は兄と私の2人だったのですが、兄は知的障害者で施設に入っています。
20歳から施設に入るまでの30数年間、両親が兄に支給された障害基礎年金に手をつけず貯めていたため、兄名義の預貯金が結構な金額(8桁あります)になっているんですよね。
施設にいると、障害基礎年金の金額でも十分生活できるため、おそらく一生かかっても使いきれないんじゃないかという状態です。
ということで、兄と遺産分割協議をした時に、母の遺産は全額私が相続するという内容の遺産分割協議書を作りました。
おそらくないと思ったのですが、念のため
本遺産分割協議書に記載されていない遺産、および遺産分割後に判明した遺産に関しては、乙が全て相続する。
という文言を盛り込みました。
乙というのは私のことです。
ところが。
私が札幌に移住してしばらくたった頃、意外な場所から多額の現金が見つかりまして。
相続税の申告書を作ってもらっている最中だったため、担当の税理士に相談したところ、こんな回答がありました。
最初の遺産分割協議は、今回見つかった現金がないという前提で進められたため、早馬がすべて相続するという話になっていたが、相続財産に対して結構な割合を占める金額の現金が見つかったことにより、前提条件が変わったともとらえられる。
このため、再度遺産分割協議を行った方がよいのでは?
当初の協議内容では、兄が障害者控除の適用を受けていないため、相続税を軽減させる意味でも、今回見つかった現金のうち50万円でも100万円でもいいので、兄に相続させる内容の遺産分割協議をすることを推奨する
※税理士の名誉のために言っておきますが、実際にはもっと丁寧な物言いでした。
ただ、預貯金や現金や不動産がいくらあろうが、全額私が相続するという考えに変わりはないわけですよ。
既に一生かけても使えないくらいの額の預貯金があって、しかも自分で管理できない環境なのに、これ以上兄にゼニを渡して何になるのかと思うので。
こちらの意にそぐわない提案だったため断ったのですが、税理士が何とも歯切れの悪い感じで言葉を濁らせつつ食い下がるので、渋々兄に50万円だけ相続させるという遺産分割協議を追加でやり直すことになりました。
2回目の遺産分割協議書には追加の協議内容のみ書いてあればOK!
ネットで調べたところ、既に成立している遺産分割協議は有効なので、2回目の遺産分割協議は、後から見つかった現金に関しての部分のみでいいということもわかりました。
で、2回目に作成した遺産分割協議書の文言の一部が次の通りです。
甲というのは兄のことです。
(前略)
3月時点では知りえなかった事実が判明したことにより前提条件が異なるため、相続人全員による再度の協議の結果、次の通り追加分割することを合意した。
1.甲および乙は、被相続人の現金〇〇〇万円について、甲が50万円、乙が〇〇〇万円を取得する。
2.前項の追加以外には、令和6年3月12日付遺産分割協議書に変更がないことを確認する。
3.本協議以降に更に判明した遺産は、金額の多寡にかかわらず、乙が全て相続する。
(後略)
2回目の遺産分割協議書のポイントは「金額の多寡にかかわらず」って点ですかね。
さすがに3回目はないんですが、今後まかり間違って何か見つかったとしても、その時は私が全部もらうぞって意思の表れです。
うちのように、相続人1人が独占して相続するケースはそうそうないと思います。
でも、何があろうと相続財産は自分のもの!って状況であれば、最初から遺産分割協議書に「金額の多寡にかかわらず」という文言を入れておくと、後から追加の相続財産が見つかってもそのまま相続手続きを進められるのではないか?と経験から思いました。
ただ、繰り返しますが、これはあくまでも個人的見解ですので、実際に遺産分割協議書を作成される際には専門家などにご相談下さいね。